子供のいのちを守るために、私の保育対策

                  京都市昼間里親

                        谷舗 由紀子

日本保育園保健協議会「保育と保健」 第8巻 第1号 平成14年1月発行

 


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 子どもの事故は、子どもの発達を知り、早めに対応すれば大部分の事故は防ぐことができるとされている。成長と共に発生するであろう事故事例を、月例別、年齢別に知っておくことが大切である。子どもの行動をよく観察し、事故予防対策を立てると共に、怪我や病気等、応急手当や、適切な対応方法を確認しあっておくべきではないだろうか。

  また、乳幼児死亡の中で大きくクローズアップされてきたSIDS(乳幼児突然死症候群)についても、関心を高めている保育士は少なくない。

 1996年からSIDS予防活動をしている広島県の中村さんは、保育現場での具体的なSIDS予防法、定期呼吸確認による睡眠時呼吸停止のいち早い発見法、呼吸停止時の対応方法等の資料を作成、1998年2月にはその資料を全国831ヶ所の全都道府県および市、区の保育担当課宛へ管内の認可、認可外保育施設への配布を願いながら送付した。

 また、中村さんは保育施設の公的なSIDS相談機関がない中で、1997年から各地でSIDSの発症した園や保護者からの相談、心のサポートにも応じている。

 それによるとSIDSは元気だった赤ちゃんが眠っている間に呼吸が止まって、そのまま眠り続けるように亡くなる病気で、そばにいる保護者、保育者も気づかないほどとても静かに呼吸が停止するということ、いつでもどこでも起こりうるものであり、予防方法としては睡眠中の観察(呼吸しているかどうか)が大切ということである。

 私の保育室は、家庭的乳児保育室で、産休明けから3歳までの乳幼児11人の小集団、異年齢混合保育である。日本では、SIDSの発症は2歳までと言われていることもあり、万一に備え、広島県の中村さんの資料を参考にしSIDS予防対策として、子どもの睡眠中の呼吸チェックをすることにした。

 SIDSチェック表を作成し、就寝中の全員の子どもの呼吸状況を、5分毎にチェックするのである。子どもの身体に触れて刺激を与え、その反応を確認し子どもの反応があれば異常なしとし、その都度記録するようにした。

なぜ5分おきに呼吸確認をするかというと呼吸停止のいち早い発見と刺激することによりシズを予防するためである。

 うつぶせ寝や横向き寝を仰向けになおすことも徹底するようにしている。

 「5分おきのチェックなどできるはずがない」とか「熟睡している子どもの身体に触れてその反応を見たり、うつぶせ寝や横向き寝を仰向けになおすこと」等は、子どもの睡眠を妨害することになるのではないのか?と、疑問も少し持っていたが、1ヶ月後の成果としては

    *うつぶせ寝でなければ眠れなかった子どもが仰向け寝でも寝れるようになった。

    *身体の一部を刺激して(手に触る、足を触る、頬を触る、呼吸の確認など)、その反応を確認しても、睡眠を妨害する事にはならない。すやすやと眠ることが出来た。

    *5分毎のチェックは、きびしいと思っていたが、要領がわかると負担は思ったより少なかった。

    *記録することで、把握が出来たという安心感が持てた。

    *子どもたちの健康状態(寝汗、咳、ぜい鳴、顔色、表情、体温など)も観察出来るので一挙両得であった。

などと、今回の観察法は予想された困難さよりも保育士たちに安心感をもたらすものであった。

 日常保育の中で、気配り、目配り、健康状態のチェック等を十分に行い、救急法の訓練を重ね、いざという時の基礎知識を身につけていたとしても、不可抗力で赤ちゃんの命を守れないことがあるかもしれない。

 また、予測の出来ない赤ちゃんの突然の死は、両親をはじめとする周囲の多くの人たちに、深刻で複雑なショックをもたらすに違いない。

 認可外保育施設では、保育中に起こるかもしれない事故による補償問題に対して、損害保険会社の施設賠償責任保険に加入しているが、SIDSが起こった場合、病気ということでその保険では適応できないと言われている。

 また、これはアルテ(乳幼児突発性危急事態)による睡眠時の呼吸停止で万一、子どもに障害が残った場合も同様で、適応される保険が無いのが現状である。

 家庭的保育制度は、自治体の認定を受けた保育者の家庭で保育を行う乳児保育制度であるが、国から見れば認可外保育施設である。当然、この保育制度下でも病気の場合に適用される保険が無い。

 保育中に発症した病気による死亡、障害の時にもお見舞金が保険ではカバーされないということは、認可外保育施設の経営者や、その施設で働く保育士達にとって万が一の時の経済的、精神的負担は大きいものとなるに違いない。認可保育施設と同様にお見舞金を出して頂ける保険(日本体育学校健康センター法)への加入を心より願わずにはいられない。

 また、この問題については認可外と言われている保育施設の仲間も気持ちを一つにして議論すると同時に、社会に対して啓発していくことが必要ではないだろうか。

 SIDSの原因はまだ究明されていないが、我々保育関係者は今後もSIDSに関する知識や情報を積極的に求めながら、予防方法、万一SIDSが起きた時の適切な対応方法等も学んでおきたいと思う。

 

 


(参考文献) 

1)田中哲郎:わが国の乳幼児突然死症候群(SIDS)

2)埼玉県:乳幼児突然死症候群を理解するために

3)中村徳子:保育施設向けSIDS予防法等についての情報

 

(参照 インターネットホームページ)

乳幼児の突然死撲滅キャンペーン(2000年7月からは全国組織となり心肺蘇生法を学び広める市民の会へ改称)

 

プレホスピタルケアホームページ(市立秋田総合病院 救急医 円山先生)   


著者

谷舗(たにしき) 由紀子

NPO法人 乳幼児の救急法を学ぶ会 代表

616-8074  京都市右京区太秦安井二条裏町9−4

telfax 075(811)5596

e-mailtanpopo@xqe.biglobe.ne.jp 

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