小児の心肺蘇生マニュアル −心肺停止の予防と Intact Survival に向けて−


が発刊され既に3年を向かえようとしている。この間に心肺蘇生法の重要性についての一般国民の認識は益々高くなっており、医療施設内における本書の役割 も増してきていると思われる。2000年の8月にAmerican Heath Associationは新しいガイドラインを発表した。

 このガイドラインが世界中で最も信頼され標準的な指針とされていることより、本書もこれに合わせる形で内容の一部を変更した、本書の内容により心肺蘇生を行って世界の流れから外れることがないように急いで改訂を行った。

 小児科医は成人の診療に比べ心肺停止のみられる症例の少ないことより、小児の救急を多く扱っている病院関係者以外ではCPRを実施する機会は決して多くない。

 このためCPRを実施する機会の少ない小児科医は小児の心肺蘇生法について最近の知識や技術の習得に常に努める必要がある。現在、救急救命士や一般国民の多くがCPRの知識や技術を習得しており、万が一にも我々医療関係者のCPRがこれらに比べ劣ってはならない。

 日本小児救急医学会でも医療関係者に対するCPRの実技講習会を実施したりしている。臨床に携わる医師はもちろんのこと、それ以外の研究職、行政職の医師でろうと、自分の周りで発生した心肺停止症例に際して患者にCPRを実施できるように準備しておくべきである。

 また、最近の医療は医師一人では成り立つものでなく、看護とのチーム医療が必須である。病棟における心肺停止症例の第一発見者は看護婦ぶあることが多く、発見者の対応が重要であることより、今回の改訂に当たって新しく『CPRにおける看護婦の役割』の章を加え内容の充実をはかったことにより、本書は小児を扱う全ての医師、看護婦に必携のマニュアルになったと信じている。

 本書はCPRの解説だけでなく、患児が心肺停止になる以前に的確な対応を行うことの重要性にも触れ、 Intact Survival を目指した内容にしている。

 本書の著者はわが国の小児科、麻酔科の第一線で活躍し、外国における蘇生処置について造詣の深く、わが国の医療の実情にも通じている医師が執筆し、現在わが国で求められる最高の内容になったと確信している。またCPRだけでなく蘇生に必要な小児の生理学、解剖学等について触れており、蘇生について理論的に理解できるよう考慮した。

 改訂に当たっては、日本小児医事出版社の吉田明弘氏に無理にお願いし今回の出版となったことに対し著者一同深謝している。

 本書の出版により、一人でも多くの子ども達が Intact に救命されることを祈って序文とする。

平成13年5月吉日

著者を代表して
国立公衆衛生院
田中哲郎

back  TOPページへ